大阪高等裁判所 昭和25年(う)2326号 判決
しかし刑法第九十六条にいわゆる差押標示を損壊しまたは無効ならしめたというがためには、必ずしもこれを物質的に毀損破壊し、あるいは標示を終局的に効力を失わしめることを要しないのであつて板、壁等に貼布した差押の標示を剥離し貼布した位置から移動させたり、または差押標示の上に紙片を貼布し隠蔽するがごとき差押標示の効用を事実上減殺する行為もまたこれに該当するものと解するのが相当である。
されば本件において被告人が仮処分執行の公示書なることを認識しながら剥離または隠蔽した事実がある以上、同条の故意ありとするに十分であつて仮処分執行を妨害する等の目的がなかつたとしてもこれが犯意を阻却するものというを得ない。論旨は理由がない。